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ソフトウェアエンジニアによるIT関連技術や数学の備忘録

SL(2, Z)とモジュラー性

SL(2, Z)のちゃんとして説明はうまくできないので、高校数学の範囲内で特徴を説明したいと思います。
x, yの2次元平面を考えて、x, y, X, Yを整数とします。
線形変換 X = a x + b y, Y = c x + d yを考えます。
ここでa, b , c, d も整数とします。
これは整数点P(x, y)から整数点Q(X, Y)への写像と考えることができます。
a, b, c, dになんの条件もつけない場合は、この写像が単射でない場合があります。
つまり、像が点Qになる点がP, P'の2つ存在します。
ここで、単射にならない条件を考えてみます。
 X = a x + b y = a x' + b y'
 Y = c x + d y = c x' + d y'

 a (x - x') = b (y' - y)
 c (x - x') = d (y' - y)
2つの式をかけると、
 ad(x - x')(y'-y) = bc(x-x')(y-y')
つまり、 ad - bc = 0の場合だということが分かりました。

そこで、 ad - bc = 1という条件をつけてみます。
すると、この写像は単射になります。
つまり、点Q(X, Y)を持ってきたとき、その写像の元の点P(x, y)はただ一つに決まるということです。
 ad - bc = 1という条件をつけたことでさらに面白い性質が満たされることをみていきます。
線形変換の最初の式にdとcをかけたもの、第2の式にa とbをかけたものを足し引きすると次の式が得られます。

 d X = ad x + bd y
 c X = ac x + bc y
 b Y = bc x + bd y
 a Y = ac x + ad y
足し引きします。
 dX - bY = (ad - bc) x
 cX - aY = (bc - ad) y

ここで、ad - bc = 1なので
 dX - bY = x
 -cX +aY = y
となります。 これは、点Q(X, Y)から点P(x, y)への写像と考えることができます。
上と同じ論法によって、単射になり、点P(x, y)を持ってきたとき、その写像の元の点Q(X, Y)がただ一つに決まります。

ここで、点P(x, y)の集合と点Q(X, Y)の集合を考えます。
どちらも無限集合ですが、この2つの無限集合はそれぞれの元が一対一対応していると言えます。
これの何が嬉しいのかというと、
例えば、この無限集合の整数点(x, y)全てについてある関数の和を取ることを考えた時、別の一対一対応している無限集合の整数点(X, Y)の和に置き換えられるということです。
和を取るのですから、その値が無限大になっては意味がないので、x, yの整数の値が大きくなるほど、小さくなる関数を使うと良さそうです。
 G_3(\tau) = \sum_{(m, n) \neq (0, 0)} {\frac {1} { {(m \tau + n)}^3 }}

m, nの両方が0だと無限大の項ができてしまうので、それを除くようにしました。
ここで、おもむろに G_3(\frac {a \tau + b} {c \tau + d})を計算してみます。
 G_3(\frac {a \tau + b} {c \tau + d}) = (c \tau + d)^{3} \sum_{(m, n) \neq (0, 0)} \frac {1} {({m(a \tau + b) + n (c \tau + d))}^{3}}

 = (c \tau + d)^{3} \sum_{(m, n) \neq (0, 0)} \frac {1} {({(ma  + nc) \tau + (mb + nd))}^{3}}

ここで、 m' = ma + nc と、 n' = mb + nd に注目します。
(m, n)の無限集合の和は(m‘, n’)の無限集合の和に置き換えられるんでしたよね? すると、
 = (c \tau + d)^{3} \sum_{(m', n') \neq (0, 0)} \frac {1} {({m' \tau + n')}^{3}} = (c \tau + d)^{3}  G_3(\tau)
となります。
ヤバそうな恒等式が出てきました。
これは、モジュラー性と呼ばれています。

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